節税クロスの基礎知識(株の税金の計算方法)
平均取得単価の計算方法
平均取得単価 =買付時に支払った総コスト(約定単価×株数+手数料等) ÷ 株数(1円未満切り上げ)
手数料等を支払う場合、平均取得単価は約定金額よりも高くなります。
約定金額よりも平均取得単価が1円高くなることが多いです。
実際の損益と特定口座の損益の差
実際の譲渡損益
実際の譲渡損益=売却時の受渡金額-買付け時の受渡金額
特定口座の損益
特定口座の損益=売却時の受渡金額-平均取得単価×売却株数
平均取得単価が1円未満切り上げとなるため、特定口座の損益は、実際の損益よりも、利益が小さく(損失が大きく)なります。
実際の損益と特定口座の損益の差(例)
- 株価100円で3000株購入(手数料300円)
- 株価100円で3000株売却(手数料300円)
実際の譲渡損益:299700円ー300300円=ー600円(手数料分)
特定口座の損益:299700円ー(101円×3000株)=ー3300円
取引した株数が多いと、特定口座の損益は、実際の損益よりもマイナスになります。
平均取得単価の切り上げは、投資家にとって得か損か?
- 帳簿上は、利益が少なく、損失が大きくなるため、株主が損したように見えます。
- 税務上は、課税利益が少なくなるため、株主にとって有利となっています。
損をしていると勘違いしているか方をたまに見かけますが、実際は少し特をしています。
節税クロスの方法
実際の損失よりも税務上の損失が大きくなるシステムを利用
クロスの場合、約定金額は同じになります。
そのため、クロスで発生する実際の損失は、経費のみとなります。
手数料がかかる場合の平均取得価格は、約定価格よりも1円高くなります。
そのため、経費以上の損失を計上することができ、結果として節税になります。
低位株のクロスで節税
節税クロスは、クロスする株数が多いほど節税効果が大きくなります。
そのため、株価が安く信用売りが可能な銘柄をクロスします。
※51単元以上の信用売りは、終値より10%以上高い価格の指値で注文します。
市場占有率を考慮し、出来高の大きい銘柄をクロス
市場占有率が大きくなると、相場操縦につながりかねません。
なるべく出来高の大きい銘柄で、場合によっては株数を調整します。
節税クロス向きの、おすすめ低位株銘柄
低位株で、出来高が多い銘柄です。
節税クロス(低位株クロス)の例
- 信用売り注文(制度or1日):30000株×46円(指値)
- 信用買い注文(制度):30000株(成行)
- 現引き
- 現渡し
手数料(金利)分の損失で、クロスした株数分の損失を計上出来ます。
節税クロスは合法か?
岐阜銀行のクロス取引の判例
証券会社から注意喚起
被審人は、証券会社から、相場操縦につながりかねない旨の注意喚起を何度も受けていました。
注意喚起を無視して、クロス取引を続けたため、裁判になったようです。
市場占有率
- 29営業日全体で16.88%
- うち8営業日では30%超
- 50%や60%を超える日もあった。
出来高の少ない銘柄の大量クロスは、市場占有率が高くなるため注意が必要です。
節税クロスだけが理由ならばいいのか
被審人は、節税が目的のクロスと説明したそうですが、それに対し裁判官は、節税クロスそのものについて違法性を言及していないようです。
節税クロスだけなら、ほどほどにすれば大丈夫かもしれません。
買いポジションがある銘柄をクロスすると相場操縦?
被審人は、クロスした銘柄の大量の買いポジションを保有していました。
その結果、相場操縦の疑いがかかったようです。
私も100株保有銘柄の900株追加優待クロスで、証券会社から確認の電話がかかってきたことがあります。
こんな小物にも確認がくるので、現物株を保有している銘柄のクロス注文は注意したほうがいいと思います。
節税クロスの方法は、株情報誌でも紹介されていた。
私が節税クロスの方法を知ったのは、10年位前です。
株情報誌で知りました。
株情報誌で紹介されていたので、節税クロスそのものは、違法性はないかもしれません。
今は、内容的に問題があるのか、株情報誌では見かけません。
当時は、節税クロスの銘柄として、ユニチカが有名でした。
実は、8年位前は、節税クロスをよくやっていました。
節税クロスをしている人は実は多いから大丈夫?
低位株の出来高を見ると、寄り付きだけ非常に多いことが分かります。
節税クロスをしている人は、実は多いと思います。
色々な事に詳しいのに、株の税金(NISAなど)について触れない人は、節税クロスをしているのかなと思っています。
出る杭は打たれる?節税はやりすぎると危険。
税務署は多忙なので、大物にターゲットを絞ることが多いです。
岐阜銀行のクロス取引の事例は、投資家としては優秀すぎる人がターゲットにされたということです。
また、数年後に捕まえることで、利息を多く取られる可能性もあるので、書類が通っても安心できません。
「出る杭」は打たれます。
実力は「出る杭」になりたいですけどね。
今後の金融所得課税について
金融所得課税の引き上げについて
コロナ下で、多くの人が苦しんでいる中、投資家だけが儲かっているという批判があります。
投資家の感覚では、リスクを負って得た利益なので問題無いと考えますが、多くの人には通用しないと思います。
多くの人に支持されるとなれば、金融所得課税の引き上げはあるかもしれません。
2021年10月8日時点で、金融所得課税が20%から25%に増税する案が出ています。
SNSで、投資家を中心に多くの批判が出ていますが、少数派だと思うので増税を止めるのは厳しいかもしれません。
節税クロスについて
投資家は、自ら情報を集めて節税をすることは問題無いと考える人が多いと思います。
ただ、節税クロスを一般の人が容認するとは思えません。
SNSの普及などで個人の発言力が増す中、世の中のルールは、多くの人の意見に沿って決められることが多くなると思います。
そのため、節税クロスはやりすぎると危険かもしれないと考えています。
節税クロスを積極的に勧めることは出来ません。
また、方法についてのご質問にお答え出来ません。
節税クロスについては、これまでDMや直接会った時しか話しませんでした。
ただ、結構広まってるので、注意も必要という観点から書かせて頂きました。
コメント
はじめまして。こんにちは。
こちら様のサイトを拝見して
勉強させていただいております。
節税クロスも何度もトライさせていただいきました。
私の口座(楽天とSBI)では5000株までしか
クロスの注文ができず…
コツコツと何度かクロス成功、実現損益が1回5,000円と少ないのですが、喜んでおりました。
最近同じ様にまたやってみているのですが、同じ価格で約定、実現損益が出ない事がずっと続いております…(涙)
何が間違っているのかよく分からないのですが
証券会社が手数料無料化したのと何か関係あるのでしょうか。
はじめまして。こんにちは。
51単元以上のクロスの場合、空売りは成行注文は出来ません。
前日終値の10%安い金額よりも高い金額で指値注文すれば、51単元以上の空売り注文ができます。
税務上の損失額は、SBI証券の場合、口座管理⇒取引履歴⇒譲渡益税明細で確認できます。
手数料無料化後も、「制度買い」なら金利がかかるため、現引き後の購入単価は切りあがると思います。
いつもこちらの新着情報を読んで、株主優待獲得の参考にしております。
さて、節税クロスについての質問です。
これまでは、確定申告時に数社の証券会社の損益を通算していた程度で、節税クロスは未経験です。
概念は理解したつもりですが、具体的に示す以下の方法でいいのかを教えて下さい。
例えばジャパンディスプレイを、手数料無料の楽天証券やSBI証券の場合に、
20円×100,000株=2,000,000円の取引を行うとしたら、
・売り:制度信用で=金利は数十円
・買い:現物で=手数料は0円
・これを当日中に現渡しする。
つまり、売りと買いの合計の金利+手数料が1円以上あれば(無料でなければ)、帳簿上では100,000円のマイナスが計上されるという理解でよいのでしょうか。
例えば、ある証券会社の口座で、当年の損益が10万円ある年の12月に、このような作業を行えば、損益はほぼゼロになるということですか。
そうだとして、この取引結果の確認をするとしたら、いつ行えばいいのでしょうか。
特定口座の「譲渡損益額合計」欄に反映されるのは、取引の2営業日後なのか、それとも週毎や月毎で締めての反映でしょうか。
以上、長文になってしまって申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
ノリダーさん、いつも新着記事を参考にしていただきありがとうございます。
「売りと買いの合計の金利+手数料が1円以上」ではなく、「買いの手数料が1円以上」ある必要があります。
買いは、例えば「制度信用買い⇒現引き」で金利分の手数料がかかるようにする必要があります。
「ある証券会社の口座で、当年の損益が10万円ある年の12月に、この作業を行えば、損益はほぼゼロになる」はその通りです。
「譲渡損益額合計」欄に反映はいつ?⇒取引の2営業日後には反映されると思います。
この度は、節税クロスについて、素早い返答をいただきましてありがとうございました。
さっそくそれに従って取引をしてみました。
数字が反映される2営業日後が楽しみです。
さて、さらに疑問が出てきました。
確定申告時に、取引のある数社の証券会社の損益を申告していますが、そのやり方についてです。
A社=+10万円
B社=+20万円
C社=+30万円
D社=-10万円
この場合に、A社とD社だけを申告すれば、残るのはB社とC社分の+50万円。
節税クロスをB社20万円、C社30万円やって0にすればよい。
これは正しいと思います。
それとは別のやり方を考えた時に、
この4社のどこででもいいので50万円の節税クロスを行って、4社すべてを申告すれば、結果的には同じになると考えていいんですよね?
数学の問題を解き終えた時に、ついつい他の解き方を考えてしまう悪い癖が出てしまったのでお尋ねしております。
よろしくお願いします。
「4社のどこででもいいので50万円の節税クロスを行って、4社すべてを申告すれば、結果的には同じになる」⇒そのとおりです。
ただ、損益がプラスの証券会社で節税クロスすると、税金がすぐに口座内で戻ります。
資金繰りを考えると、年の初めのころは、損益がプラスの証券会社を選択した方がいいかもしれません。
いつも丁寧でわかりやすいご説明ありがとうございます。
注文は前場寄付注文でしょうか。
買の方で損失が出る必要があるので
後場の寄付で返済ですと買が利益が出るため、
現引→現渡の必要があるとの解釈で正しいですか。
最初のクロス注文は、前場寄付でも後場寄付でもかまいません。
建玉の解消方法は、後場の寄付に限らず、返済注文ではありません。
現引→現渡です。
ありがとうございました。おかげさまで本日トライしてみました。
前場はうまくできて、後場は急いだら1ケタ間違って売が10倍になってしまいました。
信用買の分だけ現引+現渡をして、残りの売は返済しました。
運よく約定単価で返済できましたが、桁が大きいのでもっと注意しないとと思いました。
他の方のお返事に、
手数料無料化後も、「制度買い」なら金利がかかるため、現引き後の購入単価は切りあがると思います。
とありましたが、
手数料無料の証券会社の場合は、制度金利が一定なので、
10万株1回と5千株20回は同じ損失になると思ってよいでしょうか。
5千株で成行が気が楽に思えました。
「前場」と「後場」で同一銘柄を1日2回クロスは、購入単価の切り上げがうまくいくかは分からないです。
1日で同一銘柄を複数回売買すると、買い付け平均額等の計算が1日1回だけの取引と異なるかもしれないので。
「10万株1回と5千株20回は同じ損失になる」は、おっしゃる通りです。